キングとナイト
「…そういや、夷隅は?」

親父との話に夢中になっている間に、理事長室を出て行ったみたいだった。

「…お前、夷隅君の事、好きだろ?」

突然、親父が言った。

「…………」

図星の俺は、答えられない。

「ま、夷隅君だったら、大賛成だ。 夷隅君以外の彼女は認めんぞ」

親父は、夷隅に一目を置いたらしい。

まぁ、今回、俺が親父と仲直り出来たのは、夷隅のお陰だ。

「んじゃ、親父。またな」

俺は、そう言って理事長室を出た。



そして、夷隅を探すために、校内中を走り回る。

しかし、いくら探し回っても、夷隅は見つからない。

「何処にいんだよ……」

お前に、謝らなくちゃいけないんだ。


窓から、グランドを見る。
そこには、グランドを横切り正門へと向かっている、夷隅がいた。
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