キングとナイト
結局、会長も理事長も遠回りをしていただけなのだ。

どちらとも、不器用なだけで………。


羨ましい。そんな関係が……。

私には、そんな人はもういない。
私が、壊してしまったから……。

私は、自分で壊してしまったのだ。
幸せだったあの時の生活を………。


正門を出ると、見慣れた黒い車が止まっていた。

「…お待ちしていました、魅夜様」

その車から、降りて来たのは、

あの人の秘書であり、私の世話係でもある、相楽さんだった。

「……今月分は、貰いましたけど」

相良さんを睨みながら、言った。

「いえ。 そうでは無くて、魁様から伝言です」

次の相楽さんの一言で私は言葉を失った。
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