キングとナイト
「あっ……、連夜先輩…」

そう言って、魅夜は安心したように息を撫で下ろした。

魅夜は何かに怯えている。何故だか直ぐにそう思った。

「魅夜、何があった?」

俺がそう言うと、

「何言ってるんですか、連夜先輩! 何にもないですよ」

と魅夜は笑った。


あぁ、魅夜。どれだけ、お前と過ごしてきたと思ってるんだ?

どれだけ、お前を思ったと思ってるんだ?

そんな思いが込み上げてきて、俺は魅夜の腕を引っ張って、倒れてきた魅夜の体を抱きしめた。

「れ、連夜先輩!?」

身じろぎこそしないが、魅夜はかなり驚いている。

「…隠すな」
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