キングとナイト
「……」

夷隅は何も言わずにドアを閉めようとする。

「ちょっ、待て!!」

足をドアの隙間に挟み、ドアが閉まるのを防ぐ。

「…どうして!」

夷隅が言いたい事は解る。
でも、その前に……、

「…ごめん」

どうしても、謝りたかった。お前に……。

「……信じてやれなくて、気付いてやれなくて、ごめん」

俺がそう言うと、ドアを掴んでいた夷隅の手が離れた。

「何で……、会長が謝るんですか…? 悪いのは、全部全部、私なのに!!」

そう言っている、夷隅の目からは涙が溢れていた。

「私が理事長に盾突いたから……。だから……!」
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