キングとナイト
そんな夷隅を見ていられ無くて、俺は夷隅を抱きしめた。

「お前は、悪くないよ」

夷隅の耳元で優しく、呟く。

「悪い奴なんて、誰もいない」

みんな、不器用だっただけだ。
大切な人を守るために、不器用な方法をとった。

「だから、夷隅。 お前は悪くない」

夷隅は、俺の背中に手を回してシャツを掴んで静かに泣いた。

俺は、そんな夷隅を泣き止むまで抱きしめていた。







だから、忘れていた。夷隅の事を訪ねてきた、スーツの男の事を……。



〜零Side 完〜
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