キングとナイト

重たすぎる過去

幸せな生活を私が壊してしまったのは、中学のときだった。




「行ってきま−す!」

そう言って、玄関を開ける時には必ず母がいた。

榊原 真奈。私の自慢の母だった。

「気をつけるのよ」

優しく笑う母。大好きだった。

「魅夜様。お送りします」

決まってそう言うのは、相楽さん。

この日も、いつもと変わらないなと思った。



だが、そう思ったのは、間違いだった。





「おはよう」

そう言いながら、教室に入る。
いつもなら、皆、元気よく挨拶を返してくれるのに、この日は違った。

「……………」

「…………」

皆、気まずそうに目を反らしていた。
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