キングとナイト
「だろうね。だけど私は、媚びを売られたくないの。皆と普通に接したいの」

小さい頃から、そうだった。

榊原の一人娘と言うだけで、周りの大人から媚びを売られる。
“榊原に媚びを売って置けば、出世出来る”それが、囁かれていたことを私は知ってる。

「魅夜…。ゴメン、私、何にも考えないでこんなこと言って……」

早紀はそう言って、シュンとしてしまった。

「それに、私には早紀がいるでしょ!?」

ニコッと笑いながら言うと、早紀の顔がパアァと明るくなった。





それから、約3週間。嫌がらせは続いた。

靴の中に画鋲が入っていたり、ジャージが切り刻まれたり……。
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