キングとナイト
自分が怖かった。無意識の内にあんな事をしてしまう、自分が。

「魅夜……」

突然、後ろから抱きしめられた。

「連夜、先輩……」

直ぐにわかった。連夜先輩だと。

「先輩、私……。私っ」

「わかってるから。大丈夫。落ち着け、魅夜」

私の言葉を遮って、連夜先輩が言った。
その言葉を聞いて、顔を上げる。

「…え?」

私は、言葉を失った。

連夜先輩の頬は赤く腫れ上がり、唇からは血が出ていた。

「連夜先輩、それ……」

私が聞くと、顔を反らす。

「私、がやったんですよね……?」

聞かなくても、分かっている事だった。

私は、連夜先輩にまで手を挙げてしまった。
< 182 / 281 >

この作品をシェア

pagetop