キングとナイト
時間がどれほど経ったのか、わからなかった。
私は何をする訳でもなく、ただそこに佇んでいるだけ。

そんな時、顔に光が当たった。
顔を上げると、トラックがこちらに向かって来ていた。私は避けるために、少し移動した。

でも、近づいて来るトラックを見ていると、

“死ネルヨ”

そんな事が頭をよぎった。

あぁ、私は疫病神にしかならない………。

人に迷惑をかける事しか出来ないのだったら……、死ンダホウガイイノカモシレナイ。

私は道路の真ん中に飛び出し、トラックが近づいて来る音を聞きながら、目を閉じた。

目を閉じた後、『魅夜っ!!』と私の名前を呼ぶ、母さんの声が聞こえた気がした。
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