キングとナイト

「夷隅……？」

不思議に思い、手紙を覗いて見る。

『お前の婚約者が決まった。アメリカでホテルを経営してる友人の息子のクリス・アラスウォード君だ。近々、お前の家に住む事になるだろう。

追伸:いつか手紙に書いたが、夏休みに入ったらお前を迎えに行く』

迎えに行くって……。ようするに、夷隅が親父と一緒に暮らせるようになるって事だよな……？

「夷隅、よかったじゃねぇか。親父さんと一緒に暮らせるんだろ？」

俺がそう言うと、夷隅は首を横に振った。

「違いますよ、会長。あの人は、父は、私を監視しておきたいだけですよ。また、あの時のような事が起きないように」