キングとナイト

「……！目が覚めたみたいですね」

運転していた男から声をかけられた。

「…貴方は何が目的なんですか？」

私がそう聞くと、

「秘密ですよ」

と笑った。

…めっちゃ怪しい。なんか、ヘラヘラ？してるし……。

「榊原さん」

その呼ばれかたに、慣れない。
最近はずっと、母方の旧姓の『夷隅』を使っていたから。

「…なんですか？」

「怖くないんですか？」

いきなり、そんな事聞かれた。

「怖い？」

ありえない。これ以上に怖い思いは沢山してきた。

「別に怖くなんてないですよ」

私がそう答えると、

「……変わった人ですね」

ため息をつかれた。