キングとナイト
「送る」

会長が静かに言った。

「えっ、悪いですよ」

会長は送ると言ってくれたが、別にいつも一人で通ってるから、断った。

「いいから。黙って送られてろ」

会長は私の腕を引っ張って歩き出した。





「お前、家何処だよ?」

正門を出たところで、会長が止まった。

「3丁目5番地です」

「マジ? 俺も家、その辺だぜ?」

その割には、登下校会わないですね……。

「俺ん家、4丁目8番地」

結構遠いと思います…。



そのまま、私と会長は他愛ない話をしながら帰った。

「……お前ん家、でかくねぇ?」

私の家を見上げながら、会長が言った。
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