キングとナイト
〜零Side〜

「住んでると慣れますよ」

と、家を見上げる俺に夷隅が言う。

「じゃあな。また明日」

そう言って、帰ろうとした俺の腕を夷隅が掴んだ。

「会長。お礼に、お茶入れるんで飲んでってください」

……マジっすか。

「嫌、悪いし。親御さん、いるだろ?」

口ではそう言ってるけど、内心、ちょっと嬉しい。

「大丈夫ですから。上がってください」

ぐいぐいと俺の腕を引っ張るから、言葉に甘えて上がることにした。



「お邪魔します」

そう言って、夷隅の家に入る。

「リビング行っててください。私、鞄置いてくるんで」

夷隅はそう言って、2階へ行った。
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