マルボロ・ヒーロー
3.
翌日は朝から快晴だった。
大型連休最終日のまさに行楽日和、というやつらしい。
予想に反して、遊園地はそこそこの賑わいを見せていた。
「……」
いつものように喫煙所でタバコをふかしながら、頭の中で舞台での立ち回りを繰り返しイメージする。
「ショーもそれなりに客集まりそうっすね?」
デビルマン役の後輩が入ってきて、俺の隣に座った。
「…おう」
「あれ、タカさん?まさか緊張してます?」
「……悪いかよ」
俺の答えを聞いて後輩がブハッと吹き出すと
甘ったるい香りが、煙と共に立ちこめた。
……こいつの吸うタバコの匂いは、どうも苦手だ。