聖夜の忘れ形見
※※※



「ごきげんよう、清瀬さん」


「ご…ごきげんよう…」


朝から何の用だろう


そう思いながら、小夜は目の前に立ちはだかる静とその取り巻き達に笑顔を作り、挨拶をする


「…スカートの裾…、ずいぶん短くていらっしゃるのね」


「え…」


「破廉恥なこと。そんなに足を見せて、殿方でも誘惑なさるのかしら?」


上から下まで舐め回すように見られ、ギュッと体を縮こまらせた


「そっ…そんなつもりは───」


「あなたみたいにみっともない恰好をなさって町を歩かれると、学校の品位が落ちるの!恥さらしだわ」


「………」


「本当にもう!とんでもない方が転籍なさってきたものですわね。目の毒ですわ、失礼致します!」


自分の足元に視線を落とし、静が横をすり抜けていくのを何気なく追う

すると取り巻きの女子に肩をぶつけられ、よろめいて勢いよく尻餅をついた

クスクス笑う取り巻きの声

ヒソヒソと話す野次馬達

小夜はグッと唇を噛み締め、立ち上がってスカートの汚れを払った
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