聖夜の忘れ形見
「小夜」


耳たぶに、首筋に、鎖骨

虎太郎は荒い息を吐きながら、肌の露出している部分にキスを落とす


「───っ!」


体の産毛が、毛穴が、細胞が───


皮膚に掛かる熱い吐息や舌先、指に、小夜は全身を震わせた

経験したことのない快感が体を駆け抜ける

虎太郎の腕を掴んでいた指から力が抜け、体を虎太郎に預けた


「───小夜」


もう………我慢出来ない


いつでも仮眠できるようにと設置してある、小上がりに敷かれている布団の場所まで小夜を抱きかかえ、身を横たえた

虎太郎の指が、小夜の服の中に滑り込む


「虎…太郎………さ…」


経験はなくとも、虎太郎に何をされているのかぐらいは理解できた

そしてそういう関係になりそうだとしても、断るわけにはいかない

小夜は黙って目を閉じ、虎太郎にされるがまま身を任せた
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