聖夜の忘れ形見
何度もお互いの熱を交換した時


虎太郎は小夜のことを気遣い、ただ自分の快楽を優先させるだけではなかった

ちゃんと自分を愛し、求めてくれた

それが何よりじゃないか


そう思うことで、小夜の心のダメージは少し軽減される


「寒くないかい?」


明るい部屋の中で、お互い生まれたままの姿を晒していることに気付き、虎太郎は小夜の肩に服を掛け、瞼にキスを落とした


「虎太郎さんが居て下さるから、寒さなんて感じませんわ」


「小夜…」


落ち着いていた気持ちが昂ってくる

小夜の体が大丈夫か心配になりつつも、溢れる気持ちを抑えきることが出来ず、また何度も小夜を求め続けた



※※※



情熱的なクリスマスの一夜はあっという間に終わりを告げ、年始の慌ただしさにお互い会えない日々が続いた

落ち着けばまた虎太郎に会える

そう思いつつも、冬の寒さのせいか体調の優れない日が多い

授業中も何度か貧血を起こし、倒れることもしばしば


そんな中、悲劇は起こった
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