…season…
一章
初恋
小学校を卒業し、私は中学校の入学式を無事に迎えた。
着なれない制服
家では普段かけない茶色い眼鏡
短めに切った前髪
ヒラヒラと舞う薄いピンクの桜
「浅野 佳奈」
先生が一人ずつ名前を呼んでいく。
「はい!」
それに大きな返事を返した。
入学式は無事に終わり、教室へと戻った。
「浅野さんだよね?」
高く可愛い声が私の名前を呼んだ。
「はい そうです」
質問に答えるとキラキラとした顔でまた話しかけてきた。
「やっぱり!えっと、小学校の時に剣道やってたよね?」
人懐っこそうな女の子
きっと剣道をやっていた子だろう。