アイスクリームの美味しい食し方
それからしばらくして、
公園側にある裏口から
やっと店長が出てきた。

「あ、店長…って
お、お姉さん?!」

尋常じゃないくらい震えているお姉さんに私は驚いた。

しかも、見るどころか、
全然見てない。
完全に電信柱に隠れて、
しゃがんだ。

「いい!
同じ空気吸ってるだけでいい!」

お姉さんの目に涙がみるみる溜まって来た。

「…っ。」

私まで何だか胸が苦しくなる。


「…好き。
宗次郎さんが好き。」

お姉さんが目を閉じると
大粒の涙がこぼれた。

私はお姉さんと場所を交代して、
店長の様子を伺った。


「…店長、何か取り出しました。
携帯です。

…またポケットに戻しました。」

「チカちゃん?」

私は実況中継するように、
店長の行動を伝えた。

「周りを見回して何か探してます。
木の裏とか、店の裏とか。」

私にはこんなことしか
出来ないから。

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