アイスクリームの美味しい食し方
「好きなんだもん!
仕方ないじゃん!

会いたくて会いたくてたまんないんだもん!

何回だって諦めようと思ったよ!

私が思うほど、
新は私のこと好きじゃないんだって
思い知らされては、
やっぱり“新が”じゃなくて
“私が”好きだから!

自分と同じくらいの好きじゃないのに
それでも好きなんだもん!」

私は溜め込んでいたものを
全部吐き出してしまった。

「…っ。チカ?
なんで?君が…。」

新は驚きの表情を浮かべていたが、
私には関係なかった。

「そうだよ!関係ないよ!
私も新も!!」

そうなんだ。
これは、お姉さんと店長の話で、
私たちの話じゃない。

新も、
少しはっとした顔をした。

「…でも、店長は仲間だ。
姉が迷惑を掛けてるなんて
黙ってられない。」

新は振り払うように言った。

「店長が言ったの?」

私は、新の目を見て言った。

「決まってるだろ…。」

新は私から目を逸らして言った。

「ねぇ、
店長が迷惑だって言ったの?」

私は、
新の目を見ながら、
彼の腕を掴んだ。


「分かんないじゃん。

諦めろ…なんて
新が言わないでよ。
新の言葉みたいじゃん。」

私は、
新の胸に頭をつけて俯いた。

「チカ…。ごめん。
俺が不安にさせてたんですね。」

新が、優しく頭を撫でてくれた。

その時、
騒がしい学生たちの声の中で、
優しい静かな声が聞こえた。


「うん。そうだね。
男が大体悪いんですよね。

こういうのって。」

そこには、
店長が立っていた。

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