アイスクリームの美味しい食し方
「あ、あんた本当になんのつもりよ!!」

私は、体育館裏で怒鳴った。

佐々 新を弁当ごと
引っ張ってきたのだ。

「お弁当要りませんでした?」
ちょっと残念そうに
お弁当を見つめる佐々 新。


「…お弁当はありがたいですけど。」

私はつられて、
お弁当をもぎとった。

「明日からは順番に作りましょう。」

そして、
コンクリート部分に
ハンカチを敷いて、
座るように促した。

王子かよ!!
イライラする!!

けれど、仕方ないので、
渋々、そこに座った。

私の膝に置いたお弁当の包みを
佐々 新は早速ほどき
蓋を開けた。

可愛らしいおにぎりと
卵焼きに唐揚げ、
ポテトサラダに
小松菜のお浸しが入っていた。

「お、おいしそう。」
私は何に怒っていたか忘れ、
その女子力の高すぎるお弁当に
心を奪われた。

「俺も一緒に食べようと思って。」
佐々 新の分も、
包みの中に入っていた。

お箸を渡された時には
何を話すかすっかり忘れ、
私はお弁当を貪ってしまった。


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