アイスクリームの美味しい食し方
「えーっと。じ、実は親戚だったとか?」
私は適当に答えた。


「だったら、何故このタイミングでバラすんですかね。
せっかくばれずに済んだのに。
今後、俺の家からの頻繁な出入り、うちの店でのアルバイトがばれた時
どう説明するんですか。

一緒に住んでたら
親戚って距離感ではなくなります。
ちょっとした言葉の節々に
親密さが出ます。
例えば、先ほどのように
親戚が毎日同じお弁当でしょうか。
恋人であれば、自然なことですよね。」


ゔっ。
た、確かに。


「…そ、そうだ。
アルバイトしてて、仲良くなったとか。友達として。恋愛ではなくて。」
私は慌てて答える。


「はぁ。
君はバカですね。本当に。

親密な男女が恋愛関係でないと
どうやって説明しますか?
そして、そう言った時点で、
うちの店にはアルバイト志望の
浅はかな女生徒が押し寄せ、
とんでもない状況になるでしょう。」

ふぁ!
確かに、絶対なる!


「…んー。徹底的に隠すとか!
アルバイト中は変装して。」

目がくるくる回ってきた!


「無理です。敵が多すぎます。
絶対に君には出来ません。」
佐々 新は断言した。

「恋人だから、
アルバイトを許された。
恋人だから、
毎日登下校を共にしている。
恋人だから、
毎日お弁当の中身が同じだ。
恋人だから、
頻繁に家に出入りする。

これだけのこと、
恋人のふりをすれば
何の問題もないですよ。」

そして、冷たく微笑む。


これはある種脅迫だった。


私には承諾するしかなかった。
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