ますます監禁されますが、お仕事です
ーー
「雨音、雨音雨音」
「はいはいはい。分かりましたから、密着していいですから」
嫌な物に出会ったと、私で上塗りするかのように寄りかかる体を抱き締める。
会社から帰ってきた時と同じ状況だ。
中に居続けたいのは、どちらかと言えば彼の方だろう。
「ふと思ったんですが。私が外で、新垣さんが中とか。逆転なんてどうです?」
「それじゃあ、君をここにいさせる意味がなくなる。大切なものほど、大切に保管しなければいけない。雨音を物扱いするつもりはないけど、外は雨音を物扱いする奴らが多いから。君が、壊れる」
物扱い。
会社でのことを思い出したのは、当然のことだろう。
会社の一歯車として生活していた。会社を中心に回っていた。
あの時の私は、彼の目から見て、それほど壊れている物だったのだろうか。
「あなたは、壊れませんか?」
「雨音がここにいてくれるから」
それでいい。と、彼は笑う。
ならいい。と、私も笑う。
私が彼に永久就職した意味が毎日のように実感出来るのだから、それでーー
「先輩いいぃ!今、彼女から電話があって!『早く来なさい、ゴミクズ。こんなにもアタシを待たせるなんて、分かっているわよね?』って、愛の告白が!仲直り出来ましたよおおぉ!」
私と彼が壊れずとも、テレビのリモコンが大破してしまった日曜日でした。
※プラス、ベランダの窓ガラスもです。