君に会えるまで
お風呂からあがってケータイを手に取るとランプが光っていた。

シンからかなぁ…

何故か顔が熱くなった気がして手でパタパタ仰ぎながらメールを確認する。


『シン

夜中まで起きとる悪い子は誰やー?(笑)

俺の名前好き?
ますます変わっとるなー(笑)

妹は小児ガンなんや。
最近ずっと体調悪くて…
俺のとこは、母ちゃん死んでもうてるし親父はどこぞの女とおらんなるし稼いでくれてる姉ちゃんは夜中まで働いとるからな。

えらい面倒な家庭やろ(笑)

まぁだからって俺まで落ち込んでたら治るもんも治らんやろ?
無理はしてないつもりやけどたまにしんどい時があんねんな。
って暗くなっとるやん!

俺の歳?
マアヤより年下やで
俺14やから(笑)
見た目は高校生なんやけどなー

つか明日学校やろ?
俺もやけど(笑)
はよ寝ぇや〜』


小児ガン…

無知なアタシにも命の危険があるくらいわかる。

そんな中シンは毎日のように妹を励まし続けたんだ。

ホントに命が危なくなったときもあっただろう。

シンはどんな気持ちで耐えてきたの?

お父さんやお母さんもいなくて兄弟だけで過ごしている。

アタシみたいに両親がいて不自由ない家庭で育った人間には想像もつかない。

14歳。アタシより年下なはずのシンはアタシより大人の世界を知ってる。
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