キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「はい!」
勢いよく返事をすると、矢崎店長が微笑む。
ドアを閉めると、今日はゆっくりと駐車場から出て行った。
「ま、マジですか……ぁ」
白いミニクーパーが見えなくなった途端、全身から力が抜ける。
さすがにその場に座り込むようなことはないけど、部屋のドアにもたれかかった。
まさか、あの店長から交際を申し込まれるなんて。
杉田さんや平尾さんに本気で怒ってくれたのは、責任感からじゃなかったのかもしれない。
最近鬼が鬼じゃなくなってきたとは思っていたけど、まさか両想い──言葉にすると恥ずかしいことこの上ないが──だったなんて。
おい、やるじゃないかゴスロリ占い師。
運命の人、ちゃんと異動先にいたよ。
頑張ってた私のこと、きっといつも見てくれていたんだ。
頭の中のお花畑に、妄想が広がっていく。
神様、ありがとう。
努力が報われることって、本当にあるんだ。
どうやらドアの前で一人で長時間ニヤニヤしてしまっていたらしく、隣の部屋のパンクなお兄さんが、私を怪訝そうな顔で見てスルーしていった。