キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「うん。今日、地区内の他の店の同期から電話がかかってきて、そんなことをちらっと聞いた」
気まずい空気が流れる。
「はっちゃん、どっかご飯に行こうよ。俺、家がこの近くでさ」
慰めるような長井くんの優しい言葉が、痛かった。
思わず涙がにじんでしまう。
「行こうかな」
「今夜は飲んじゃおうよ」
「うん」
「何でも聞くからさ」
「うん……」
長井くんに背中を押されるまま、ゆっくりと歩き出す。
卑怯だとは思っていても、彼の優しさに寄りかからずにいられない。
本当は、違うのに。
迎えにきてほしかったのは、誰でもない、俊。あなただったのに。
15分ほど歩くと、朝はひっそりとしていた駅前が、飲み屋の看板で華やいでいた。
長井くんはそんな中でも、居酒屋チェーンではなく、半地下にあるオシャレなお店に連れていってくれた。
小さなプレートに書かれた店名は英語で、読めないけど。
中は薄暗いけど、居酒屋のように騒がしくなく、バーテンがいるカウンターの他に、個室もあるようだった。
「実はここ、俺の友達がいるんだ」
「へえ。素敵なお店」