キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


そうなんだ。女は、攻撃対象が男に庇われれば、余計に面白くなくて余計に攻撃的になる。

おばさんも中学生も、女という生き物は変わらないみたい。


「もう、今夜は暴飲暴食する!」


私にできるのは攻撃をスルーするということだけ。

ストレスが溜まるけど、仕方ない。風化するのを待とう。


「うんうん、ここはピザやパスタも美味しいよ」

「じゃあ、それ!ワインも飲んじゃおうかな」

「おう!飲もう飲もう!」


そうして長井くんがお友達店員さんに適当にオーダーしてくれた料理やお酒を、どんどんお腹に入れていった。

変な噂を立てられたことにも腹が立つけど、自分にも腹が立っていた。


今は長井くんと一緒にいるのに、気づけば俊のことばかり考えている。


彼は適当なモールの中のレストランや、汚い焼肉屋にしか連れていってくれない。

仕事終わりに待ち伏せして驚かせてくれたこともない。

何より、辛いときにこうして傍にいてくれない……。


被害者ぶるのはいけないことだって、わかっている。

私はただ、きっと、寂しいだけ。

どうして彼氏のはずの俊がこんなに遠くて、長井くんの方が近い存在に感じられるんだろう。


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