キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~


しゃくりあげると、長井くんは私の頭を優しくなでてくれた。

温かくて、でも胸が張り裂けるようで、涙が止まらない。


「どうして、かなあ……。片想いしてた頃より、今の方がよっぽど店長を遠くに感じるの。どうして……こんなに、寂しい、のかなあ」


どうしてこんなに苦しいの?

どうしてこんなに切ないの?

想いが通じて、これからもっと楽しいことがいっぱいあると思ってたのに。

彼の横にいるのは、私だったはずなのに。


「何か事情があるのかもしれない。こればっかりは本人に聞いてみなけりゃわかんないよ」

「うん……」

「それで店長がはっちゃんを裏切るようなことをしていたら……」


長井くんは、ぎゅっと私を抱きしめる。

その腕の力は、意外に強かった。


「俺がぶん殴ってやる。はっちゃんを傷つけるものから、俺が守ってあげる。だから、大丈夫だよ」


そんな優しい言葉をかけられたら、余計に泣けてしまう。


ねえ、俊。あなたはこんな現場を見たら、どんな顔をするのかな。

先に守ってくれるって言ったのはあなただったのに。

どうして、他の男の人に同じセリフを言わせているの?


鬼。悪魔。ひどいよ。


ねえ。それでも。


他の男の人に抱きしめられていても、私はあなたのことばかり想っているんだよ。


お願いだから、こんなの夢だって言って。嘘だって言って。


リアルな長い悪夢から、私を連れ出してよ……。




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