キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
指定された駅までは、すぐに着くことができた。
そこで待っていた麻耶ちゃんに案内されたのは、なんと。
「何このマンション……」
新婚さんが済むような、高そうなマンションの一室だった。
エントランスでぽかーんと天井を見上げる。
自宅に案内してくれるとは聞いていたけど、結婚前のカップルだから、なんとなく自分の部屋と同じようなアパートに住んでいるのだろうと勝手に思っていた。
お昼時を過ぎてしまったので、手土産に持ってきたロールケーキを思わず落としそうになる。
「もともと亮司さんが買ったところに住まわせてもらってるだけなんだ」
玄関を入ると、広いリビングにカウンターキッチン、他に三部屋もあるみたい。
「なにこれ、うらやましい……完全に新婚さんの新居じゃん!」
ちゃんと掃除されたリビングのソファに座ると、麻耶ちゃんが紅茶を出してくれた。
「麻耶ちゃん、高浜さんといつ結婚するの?」
質問すると、今度はお土産のロールケーキを切り分けて持ってきてくれた。
「さあ……」
「プロポーズは?将来の話は出てるんでしょ?」
「まあ、つきあうときに『結婚を前提に』みたいな話はあったよ。あっちが年上だから」
聞けば、高浜さんは麻耶ちゃんより11歳上の32歳らしい。もう少し若く見えていたから、驚いた。