キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
10・鬼ごっこ
高浜さんは夜勤で明朝までいないというので、麻耶ちゃんとずっとしゃべくりあっていた。
コンビニでお弁当やお菓子、あとお酒を買って、テレビを見ながらワイワイするのは、長井くんといるよりもずっと楽だった。
「やだ~、はっちゃん帰らないで~。寂しいよう~」
麻耶ちゃんが私の腕にすがりつく。
「でも、泊まる準備してないもん。明日高浜さんが帰ってきたら、びっくりするだろうし」
「私のパンツ貸してあげるから~。亮司さんなんか、仕事ばっかりでかまってくれないんだもん。知らないもん」
どうやら、幸せそうに見える麻耶ちゃんにも、色々とストレスがあるみたい。
けど、いきなりお泊まりはやはり高浜さんにも迷惑だろうと思ったので、麻耶ちゃんが落ち着くのを待って帰ることにした。
「すっかり遅くなっちゃったな」
けど、楽しかったからいいや。明日もお休みだし。
お店はひと月に一回だけ定休日がある。明日はその日だ。
麻耶ちゃんはお酒に強くない。だから、二人とも缶チューハイを1本ずつ開けただけ。
昨夜よりずっとしゃきしゃきした足取りで、最寄駅からアパートへと歩いていく。
もう少しで着く……というところで、はたと気づいた。
駐車場に、見たことのある白いミニクーパーが停まっている。
まさか。
心臓が飛び跳ねる。
視線を移すと、自分の部屋の前に、スーツの男の人がドアにもたれるようにして立っていた。
暗くてよく見えないけど、あれはもしかして……。