キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
翌日、初芽から体調不良メールを受け取ったのは、朝礼の直前だった。
短く返し、あとで見舞いにでも行こうと思っていたら、お客さんがどどっと入ってきた。
平日では珍しい込み具合だった。
閉店後やっと息をつくと、長井に話しかけられた。
「店長、ちょっといいですか」
「……なんだよ」
さっさと片付けて初芽に連絡しようと思っているのに、邪魔するなよ。
そんな思いが顔に出てしまったのか、長井は俺を非難するような目をしていた。
めんどうくせえなあ、どいつもこいつも。
立ち上がり、今日の売上を地区長にファックスしようとすると、長井が口を開いた。
「俺、はっちゃんのことが好きなんです」
書類を持っていた手が止まる。
長井の方を見ると、彼は真っ直ぐに俺を見つめていた。
「なんで俺に告白してんだよ」
「だって、店長がはっちゃんの彼氏なんですよね?」
「あぁ?」
こいつ、知ってるのか?どうして……。
それを聞こうとした瞬間、長井の手が目の前に飛んで来た。
あまりに突然で、避けることもできなかった俺は、そのまま頬に拳をくらった。
その衝撃で、メガネが床に転がる。
「ってぇな……」
こいつ、女みたいな顔して、力はちゃんと男じゃねえか。
よろけて壁にぶつかった俺は、態勢を立て直す。