キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「だって、安く安くって、そればかり言うから……」
ぼそぼそと言い訳をする。
最近は不景気のせいか、そういうお客様が本当に多い。
前の店なんて、千円のサングラスを「これいくらになる?」って何度聞かれたことか。
千円は千円、それ以下にはならないというのに。
「それでもな、一応言ってみるんだよ。売りつけようとしなくていい。紹介しておくって気持ちで良いんだ。説明されなきゃお客さんは良いメガネと安いメガネの差もわからず、使いにくいものをずっと使わなきゃいけないわけだろ?」
「はい……」
「何もしないうちに諦めて、自分で限界作ってたら、そこで終わりだぞ。単価も上がらないし、着数もこのまま。これじゃ、この地区では最下位だ。3時上がりで土日休みのパートさん以下だぞ」
……なんで、占い師と同じことを……。
別にいいもん。地区最下位だって。
私の成績がご不満なら、さっさと転勤させてくれてもかまわない。
一日でも早く、前の地区に帰りたいよ。
「……もういい。休憩行ってくるわ」
打っても打っても響かない私にうんざりしたのか、矢崎店長はさっさとその場を後にしてしまった。
時計を見ると、午後2時半。随分遅い休憩だ。
「いっそ、閉店まで休憩しててください……」
ぐったりと加工台の傍の椅子に座ると、パートの平尾さんがとことこと寄ってきた。