キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
『私』ではなく、普段通り『俺』と言った俊の言葉は、嘘やお世辞には聞こえなかった。
そんなふうに思ってくれていたなんて。嬉しい……。
「そうなんですか……。初芽、良い人を見つけたね。大事にしなさいよ」
お母さんは優しい顔でうなずきながら言った。
一方姉は……。
「はーあ、つまんなーい」
そう悪態をつきながら、さっさと居間から出ていってしまった。
いったい何がしたかったんだろう……。
「初音は、初芽がうらやましいのね。あの子は美人な分、外見ばかりに男が寄ってきて、あの性格だと知ると離れていってしまうから」
だから、普通の顔でも、普段の頑張りを評価された私がうらやましいって?
なんか、すごく勝手な言い分じゃない。誰とも長続きしないのは、自分の性格が悪いせいじゃん。
けど、本人にそう言う気にはなれなかった。
私も異動しなかったら、今も一人だっただろう。運が良かっただけだ。
「お姉さんにも、きっとそのうち良い人が見つかりますよ」
俊がそう言い、その場をとりなした。
その後はのんびりとお茶を飲み、時間が過ぎていった。