キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
次の日、俊は休みで、私は出勤。
昨日は早起きで眠かったから、帰宅後すぐに寝てしまった。
そのおかげで、昨日より頭がはっきりしている。
「あれ、はっちゃんメイク薄くした?」
長井くんが顔をのぞきこんでくる。
俊がつけまつげや黒目コンタクトがない方がいいと言ったのを真に受けて、それらをつけてこなかったんだけど。
「あ、うん……やっぱりブス?」
「そんなことないよ。可愛い」
そうかなあ。女子受けするメイクと男子受けするメイクは違うって言うけど、本当なのか。
だとすれば、可愛いと思ってやっていた、今までのバッチリメイクはいったい……。
杉田さんが接客しているのを横目で見ながら、そんな無駄話をしていると。
「やべ。地区長の車だ」
長井くんが、駐車場に停まった車を見て言った。
彼の言う通り、地区長が車から出てきて自動ドアをくぐる。
そして、後ろには見覚えのない初老の男性がついてきていた。
スーツにメガネ……もしかして、会ったことのなお偉いさん?
俊が休みの日に、どうして?
「おはよう」
「おはようございます」
二人で挨拶を返すけど、地区長はいつもより厳しい顔をしていた。
「矢崎くんは上にいるかな?」
聞かれて、駐車場に俊の車があるか確認する。