キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
どういうつもりなんだろう。
あまりのショックで、寮で首を吊って……なんて、あの俊がそんなことするはずない。
もやもやして眠れない夜を過ごして、次の日出勤すると……。
「はっちゃん、大変だ!」
裏口を開けた途端、長井くんが寮の階段を降りてきた。
「どうしたの?」
「店長が……」
眉間にシワを寄せた長井くんの顔を、汗が一筋伝っていく。
まさか、俊になにか?
長井くんを押しのけて、寮の階段を駆け上がった。
ドアを開けると、すぐに俊の部屋をノックする。
「店長!店長!」
まさか。
試しに、鍵がかかっているはずのドアのノブに手をかける。
するとそれは、いとも簡単に動き、ドアが開いた。
その中を見て、驚く。
「そんな……俊……」
そこは、綺麗に片付いていた。
彼と一緒に寝たパイプベッド。
小さなテーブルに、本棚。
そういった持ち運べないものはそのままだったけれど、ノートパソコンや、こまごましたものがなくなっていた。
クローゼットを開けてみると服もほとんどなくなっていて、引き出しを探っても貴重品の類はまったくないみたい。
膝から力が抜け、ぺたりとその場に座り込む。
「はっちゃん、これ」
後ろから声をかけられ、なんとか首だけ振り返ると、長井くんがメモ帳を持って立っていた。
そこには、神経質そうな字で書置きがされている。