キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
バックボーン?どういうこと?
そういえば、『父に報告する』とか俊が言った途端、地区長の顔色が変わったような……。
「お前には黙っていたけど、俺の実家は、もともと福井のメガネメーカーなんだ。今は儲かってて、色々な事業に手を出してる」
「え……ええ?」
「まあ、矢崎って名とはかけ離れた社名だから、わからなくて当然だけど」
聞いてみると、それは日本で知らない人はいないような大きな会社の名前だった。
けど、もともとメガネメーカーだというのは初耳。
「親父を怒らせたら、会社で扱ってるメガネの半分以上が卸されなくなるな。三浦さんの店も同様。困るぞ、あいつら」
だから地区長は、真っ青になっていたんだ。
そして、菜穂さんの働き口までなくしてやるだなんて……どこまで圧力をかけられる範囲が広いのか。
それを笑って言うなんて、恐ろしや、矢崎一族……。
「まさか、本当にお父さんに……」
「言うわけねえだろ。言ったところで、『はめられたお前が悪い』で、終了だよ。俺はお前まで巻き込んだあいつらに、一泡吹かせてやりたかっただけだ」
その言葉を聞いて、安心する。
良かった。これで会社は今まで通り。
さすがの菜穂さんも、自白現場を目撃され、そこまで脅されたらもうくだらない嫌がらせなんかしなくなるだろう。