キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「はいっ!」
ぼーっとしてる場合じゃない。
私は勢いよく、首を縦に振った。
「指輪は、俺が作ってやるよ」
実家に帰れば、金でも銀でもチタンでも、メガネができる金属ならなんでもあるから。
そんな冗談を言って、俊は笑った。
とてもとても、嬉しそうに。
見たことのないくらい、目じりに笑い皺を作って。
「じゃあ、二人の気持ちが変わらないように……形状記憶合金でお願いします!」
そう返すと、私たちは目を合わせて、二人で吹き出した。
綺麗な夜景を前に、私たちは大きな声で笑った。
ロマンチックな雰囲気はどこにもないけど、もうそんなものどうでもいい。
好きな人が傍にいてくれて、笑いあえる。
こんな素敵なこと、きっと他にないもの。