キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「今までの店長は、ミスを事前に防いでくれていました。でもそれって、結局は自分の店のロスや、クレームが増えるのが嫌なだけだったんですね」
それは私のためじゃなく、自分のため……。
「そうでもないだろ。お前が可愛くて、ついついやってあげたくなっちまったオヤジどももいるんだろうよ。でも俺は、それじゃお前のためにならないと思ってるから」
店長は自分用に買って来たらしい缶コーヒーのプルタブを開け、一口飲んだ。
『お前が可愛くて』
何気ない会話の間の、そんな言葉が少し引っかかっている自分に気づいて、胸の奥がちりと焦げたような気がした。
「なんでもやってみろ。いつか結婚して辞めるような時が来ても、きっとここで覚えたことは無駄にならないから」
さあ、と店長は、私の背に手を回し、強引に平尾さんの方へ体を向けさせた。
背中に感じた、節くれだった指の感覚に一瞬どきりとする。