キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
しかも、俺だったらって……あんたと恋愛するわけじゃないんだから、放っておいてよ。
この世には、女は見た目と愛想が良ければ、頭はどうでも構わないって人だって、たくさんいる……はずなんだから。
「ねえ、その運命の人、もしかしたら矢崎店長なんじゃない?」
「は!?」
平尾さんが突然的外れなことを言うので、声が裏返ってしまった。
たしかに異動先で出会ったけど、そんなはずはない!!
「やだ!」
ただの鬼じゃないとは思うけど、基本的にSだし、厳しいし、あんなひと嫌だ。
もっと優しくて、甘やかしてくれて、私の言うこと何でも聞いてくれる人がいい。
「なんで。カッコイイじゃない。雇われ店長だから、収入はたいしたことないかもしれないけど」
平尾さんは、小声で私に店長を強烈プッシュしてくる。
うう~、同じ店でこういうの、ほんと面倒臭い……。
そんなに良いと思うなら、あなたがどうぞ、ゲットしてください。
「あ、もう休憩時間終わりだ!戻りましょう!」
私はわざとらしく時計を見て、さっさと片づけをして、一階に戻る。
後ろから、「まだ5分あるよぉ~」と不満げな平尾さんの声が追いかけてきた。