キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
その後もう2週間、待てど暮らせど、運命の出会いは訪れなかった。
そもそも年寄りと子供をターゲットにしたうちのお店に、若い男の人が来ること自体が珍しいんだ。
「もうあきらめて、派遣に登録しようかなあ」
「はっちゃん、残念なお知らせ。受付嬢は25歳だと難しいかもよ。今はもっと若い子が多いんだって」
「ウソ!?」
同期の長井君が、中性的な可愛い顔で、残酷なことをあっさり言ってのける。
25って、まだ若いと思ってたけど……。
「若いうちは仕事ができなくても可愛いけど、25過ぎて何もできねえやつはイタイだけだな」
便乗した矢崎店長が、さらにひどいことを!
「お、お客様だ」
「ハツ、行ってこい」
「は、はい~!」
今日は日曜日。
全国的にセールのチラシが入ったせいか、朝から客足が途絶えることはなかった。
店長以下全員出勤していて、全員が動きっぱなし。
平尾さんは社員の補佐役に徹して、雑品の補充や、散らかった接客カウンターや加工台の片づけ、ただ話にきただけのお客様の相手などをしている。
最初はバカにしていたけど、こうしていると平尾さんもお店に必要な人だということが、だんだんとわかってきた。