キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~
「いやいや、自分を綺麗に見せようとする努力は、やはり必要ですよ」
今度はたくさんのお肉を口に入れた平尾さんが、ムッとする番だった。
自分のことを怠け者だと言われているような気がしても無理はない。
ちょっと微妙な雰囲気になりかけたとき、店長が言った。
「その努力を仕事に向けてくれりゃあ、もっと成績が上がるんだろうなあ……」
「ちょ、店長。私、もうけっこう頑張ったんじゃ?」
昼間、そう言って褒めてくれたでしょう?
横からのぞきこむと、店長はこちらを向いて、ぺしっと私のおでこを叩いた。
「前よりは良くなったが、それでも同期の長井と比べれば下だろ。
長井は加工も何もかもできて、販売もお前以上の着数と単価を保ってんだから」
長井君は茶髪でチャラそうに見えるけど、意外に仕事のできる男らしい。
それは一緒に働くようになって気づいていたけど、本人が威張ったりしないので、そんなにすごい人だということをつい忘れてしまう。
「店長に褒められる日が来るなんて……感激っす」
泣き真似をする長井くん。
「新入社員のときから俺が育てたんだ。できて当たり前だろ」
「ぐへっ」
今度はこける真似をした長井君を見て、平尾さんに笑顔が戻った。
うわー、すごい自信。
ちょっと引いていると、平尾さんが口を開いた。
もういいや、何て言われても。
美味しいお肉を食べて、幸せな気分を保とう……。
「あのう、店長」
なんだ、店長にお話があるのか。