嘘をつく、その瞬間。

**

いつもの様に、心華と帰っているとき。

「ねぇ、」

後ろから、中性的な声が聞こえた。

クルリ、と心華と一緒に後ろを見ると長身の女性がいた。

「貴方、唯幸碧奈さん?」

「え、えぇ……。」

いきなり、声をかけられ戸惑う。

「ちょっと、お話出来ない……?」

ニッコリと笑う女性。

「あっ、別に怪しい人じゃないから。」

と、刑事ドラマの犯人の様に手を上げて、ヒラヒラと動かす。

「っ、アオ……。」

不安そうに、眉を寄せて私の制服を掴む。

「大丈夫よ。……ちょっと、行ってくるわ。」

出来るだけ、心華に心配をかけない様に。

「分かった……。私は、竜也-Tatuya-に電話するね……。

何かあったら、電話してね!」

真剣に、そう言った心華。

「分かってる。」

「……じゃあ、近くのファミレスで話しましょう?」

そう言われ、頷き私は女性についていった。

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