嘘をつく、その瞬間。
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いつもの様に、心華と帰っているとき。
「ねぇ、」
後ろから、中性的な声が聞こえた。
クルリ、と心華と一緒に後ろを見ると長身の女性がいた。
「貴方、唯幸碧奈さん?」
「え、えぇ……。」
いきなり、声をかけられ戸惑う。
「ちょっと、お話出来ない……?」
ニッコリと笑う女性。
「あっ、別に怪しい人じゃないから。」
と、刑事ドラマの犯人の様に手を上げて、ヒラヒラと動かす。
「っ、アオ……。」
不安そうに、眉を寄せて私の制服を掴む。
「大丈夫よ。……ちょっと、行ってくるわ。」
出来るだけ、心華に心配をかけない様に。
「分かった……。私は、竜也-Tatuya-に電話するね……。
何かあったら、電話してね!」
真剣に、そう言った心華。
「分かってる。」
「……じゃあ、近くのファミレスで話しましょう?」
そう言われ、頷き私は女性についていった。