嘘をつく、その瞬間。

「どんな事ですか。」

「……桜坂心華を、龍蝶の姫から下ろしたいの。」

「は……?」

突然すぎる発言に、戸惑う。

「……何、言ってるんですか。」

「そのままよ。」

まるで、それしか話さない、とでも言うかの様に。

「理由は。」

「知る必要が、ある?」

來氷さんに、先程の笑みはなく冷たく、冷たく。

私を、せせら笑うかの様に見てくる。

「っ、あの子は……!

やっと、仲間を見付けたんです……!」

小学生から、友達だった心華。

心華は、父親に虐待を受けていた。

助けたい。

そう、思うだけで実際は助けられなかった。

そして、小学3年生。

心華の、母親と父親が離婚した。

だけど……。


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