嘘をつく、その瞬間。
裏切り者。
*心華side*
───何で、なんだろう。
今日も、何時もの様に倉庫に入った。
「おはよう!」
そう、何時もの様に。
だけど、空気が違った。
皆が、私を鋭く睨み付ける。
それは、怒っている睨みだ。
普段は、倉庫の2階にいる総長の竜也や幹部の皆まで広場にいた。
「皆、どうしたの…?」
段々、不安になる。
すると、幹部の由朔-Yuusaku-が眉間に皺を寄せて叫んだ。
「どうしたの、じゃねぇよ!
惚けんな!」
怒りが籠った声を聞き、自分でも分かるくらいにビクッと体を揺らした。
「な、にが…?」
皆が、何でこんなに怒っているのか分からなかった。
すると、竜也がスッと立った。
「心華。
お前、スパイなのか?」
真剣に、聞いてくる竜也。
ス、パイ…?
「何、それ…。」
「お前、紅蓮のスパイなのか?」