嘘をつく、その瞬間。

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これが夢であってほしい、と。

誰もが違う意味で、思うんでしょうね。

声をあげて泣きたいのは。

「うっ……わぁぁぁ。」

────心華なのに。

「碧奈……。」

こうやって、優しく声をかけられるのは心華なのに。

……私は、心華の全てを奪ってしまった。

「……心華を信じた俺達が馬鹿だった。」

こう、悪口を言われるのは私なのに心華は辛い思いをしている。

「っ、」

ただ、

私は、心華を守りたかった。

親友で、居たかった。

──だけど。

結局は、自分の為しか動けなかった。

ただの、偽善だったのかもね。

──いや、私は偽善者なんだ。

真実を知り端から見た人は私の事を、親友を思った“振り”をしている偽善者なんだろう。

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