嘘をつく、その瞬間。

ただ、“本当の姫”が居なくなって少しレベルが上がっただけ。

「……もう、話は良い?

失せろ、って言うのが聞こえない?」

出来るだけ、優しく。

口角を上げるのを意識する。

「っ、行こう。」

そう、ゆっくり去っていった女達。

完全に、足音が消えて。

「心華……っ!」

私は、大好き……愛している……否、愛しているの言葉じゃ足りない愛しい人の元へ駆け寄る。

手を伸ばし、立たせようとする。

だけど。

「止めて……、私に……っ、触らないで!」

パシン……と、跳ねられた手は。

行き場が、無くなった。

「心、華……?」

どうして……?

私は、いきなりの事に訳が分からなくなる。

「もう、私に関わらないで。」

そう、冷たく言われた言葉は私にとって残酷だった。

「え……。」

「前の、“大好き”や笑顔も。

全部、嘘、何でしょう?」

まるで、私を嘲笑うかの様な目。

全身に、鳥肌が立った。

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