嘘をつく、その瞬間。

「違う……!

私は……心華のこ……」

「もう、良いよ。」

“心華のこと、好き”

その言葉を言わせないように言った心華。

「……もう、うんざりなの。

貴方は、何もしなくても誰からも好かれて何でも出来て。

何時も、私が比べられた。

私は、貴方のこと。

これっぽっちも、好きじゃない。」

だから、関わらないで。

そう言い放ち、この場を去った心華。

────ただ、私が浮かれていたのかもしれない。

いや、しれない。じゃなくてそうなんだ。

まるで、頭を鈍器で殴られた様な衝撃。

もしくは……。

階段から、突き落とされた様な衝撃が襲う。

“好きじゃない”

頭から離れない。

何度も、リピートされる。


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