嘘をつく、その瞬間。

「止めて……?

そんなこと言って、止める訳ないじゃない。」

「っ、」

分かってる。

けど、どこかで色々なことを期待してるんだ。

例えば、止めてくれるんじゃないかとか。

「お姫様だったものねぇ?

今まで、こんな痛み味わったことないんじゃない。」

……あるよ、いっぱい。

貴方たちが、知らないだけじゃない。

知らないのに、そんなこと言わないで。

……はっきり言えないのは私の弱さ。

「何、してんの。」

例えば、龍蝶の誰かが助けに来てくれるとか。

「……、由、朔……っ!」

女の子達の、顔が青ざめている。

───少し、期待した。

助けてくれるかも、って。

だけど、所詮は私の“期待”で。

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