嘘をつく、その瞬間。
「……えっと……。」
「あ、名前……忘れてたわ、ごめんなさいね?」
と、顔の前に両手を合わせ苦笑いする彼女。
「いえ……。」
正直、名前を知らなくて困っていたがあえて言わなかった。
「來氷小春。高校3年生。」
「同い年……。」
同い年に見えない容姿……否、雰囲気に驚き声を漏らした。
「ふふ、初対面の人とかにはいつも驚かれるの。」
昔っからだから困るのよね。
と、笑っている彼女。
20歳と言われても、納得できると思う。
そんな彼女が、私と同じ年……。
「……そ、れ、で。
雷神の姫。」
まるで、語尾にハートマークがつくんじゃないかという勢いで可愛く話した彼女。
美しく、可愛いよりも綺麗な彼女に違和感を感じた。
が、そんなことよりも。
「雷神の……姫……?」
ポツリと呟いた。