嘘をつく、その瞬間。

「さぁ、飲んで。落ち着かせるには丁度良いんじゃない?」

口角を上げて飲むのを薦める。

私は、黙って口に運んだ。

「どう?美味しいでしょう?」

確かに、珈琲の味よりもキャラメルが強くて甘く美味しい。

「うん…。」

顔を伏せて、珈琲を見つめた。

「でも……龍蝶が仲間を信じないなんて……ねぇ?」

「っ、龍蝶を馬鹿にしないで!」

嫌味たらしく言われ、ついカッとなる。

勢いよく立った為、珈琲が溢れた。

「大丈夫ですか……?」

珈琲が溢れた事に気がついた店員さんはフキンを持って来た。

「す、すみません……!」

と、私は慌ててフキンを受け取り溢れた珈琲を拭いた。

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